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第1回 ボルダリングジャパンカップ


記念すべき第1回大会の優勝者は、男子が接戦を制した茂垣敬太。松島暁人がアテンプト数の差でこれに続き、3位は貫禄で平山ユージ。女子は野口啓代か断トツで優勝、2位に田井千香、3位は熊谷典子であった。

予選第3課題の茂垣敬太

予選第2課題の茂垣敬太


決勝第4課題の野口啓代

野口啓代は2位以下の選手が2課題完登の所を、
ただ一人4課題完登で優勝 写真は決勝第4課題


 しかし、現実問題として国際競技会は「このやり方」でやっているのである。国内のローカルな大会でも、可能な限り――部分的にであっても、国際ルールにしたがった進行をおこなって行くべきだろう。競技会には否応なくヒエラルキーが存在する。競技会そのものが選手間のヒエラルキーを決定するものだし、地方の競技会の上には全国が、そしてその上にはアジアがあり世界がある。競技者であるなら、――仮にそれが見果てぬ夢であるとしても――上を目指すのがある意味当然だろう。国際大会に選手を派遣するにしても、国内の大会で上位に入った者が選ばれる。

 そうであるならば、国際大会と同じルール、方式で国内の大会も運営されるのが望ましいのではないか?いわばソフトボールで野球の、フットサルでサッカーの代表を決めているのが、今の日本の実情なのである。やはりこれは、望ましい状態ではない。

決勝第3課題の平山ユージ、左は中野稔

決勝第3課題の平山ユージ、左は中野稔


予選第3課題の渡辺数馬

予選第3課題の渡辺数馬


予選2位で決勝進出した中原栄

予選2位で決勝進出した中原栄
今回多くのユース年代がエントリーした中で、
男子では中原と清水 淳が決勝に進出

決勝第3課題の榊原佑子

女子決勝第3課題の榊原佑子


※ ここから上の写真はクリックで拡大画像が表示されます。

撮影:北山 真

兵庫県 神戸市
アシックス・アトリウム


'05年9月23〜24日


リザルト(PDF)


 日本山岳協会の主催するものとしては最初のボルダリング競技会であるボルダリング・ジャパンカップが開催された。会場はアシックス本社社屋内の吹き抜け空間を利用した体育館で、これまでにさまざまな競技でも大会会場として使用されてきたもの。照明、空調なども完璧で、申し分のない施設だ。

 国内のボルダリング競技会は、B-Sessionをはじめ各クライミングジムでかなりの数が開催されているが、一部を除きその多くは独自のルールによるものである。今回は、UIAA-ICC加盟団体としての日山協がやる以上、国際競技会のルールに極力準拠したものであるべきだし、実際に決勝の課題数以外はそれに準拠するものとなった。

 一方、参加する選手については、国際ルールを正しく理解していないところがあるようだ。一例をあげれば、アテンプトを終えて足がマットに着いた後、スタートホールド以外に触れる、スタートホールドを使用せずにスタートする、と言ったことをおこなった選手が見られた。ただこれはやむを得ない面もある。現実に、国際ルールに従ったボルダリング競技会は、国内でほとんど行われていないわけだから、選手にそれになれておけと言うのも難しい。

決勝第4課題の松島暁人

決勝第4課題をただ一人完登する松島暁人


女子決勝第3課題の田井千香、奥は萩原亜咲

女子決勝第3課題の田井千香、奥は萩原亜咲


 無論、今の国際ルールに問題がないとは思わない。今回の大会でも、その問題点は明らかだった。だが国内で行われている競技形式――いわゆる「セッション方式」が優れているかと言えば、「競技」として考えた場合、平等性の点で、また選手のオンサイト能力の育成という観点から見て問題があると言わざるを得ない。

 国際ルールの問題点は2つある。一つは、複数の課題に複数の選手が取り付くため、観客がどこに注目して良いのかわからないということである。そしてもう一つは、特にラウンドの最初と最後に、誰も登っていない間の抜けた時間が生じてしまうことだ。さらに運営側にしてみても、ジャッジが課題数の2倍必要といった問題もあるだろう。

 しかし競技クライミングの歴史は浅い。そのルールは、少しずつ変わってきている。中でもボルダリングは、現在行われている他の2種目(リード、スピード)に比べ、最も新しい種目である。特にUIAA-ICCとしては、よりアトラクティブな競技を指向しているところがうかがえるだけに、現在のルールのまま続いていくとは思われない。ボルダリング競技の方式/ルールとして、どのようなものが望ましいのか?UIAA−ICCにあっても、それを手探りしているのが本当のところではないかと思う。

 特に決勝は、現行のいわゆる「ベルトコンベアー方式」をある程度見直す必要があるだろう。「観客を集めるスポーツ」であるためには、現在のやり方は冗長に過ぎる。先の世界選手権でも、ボルダーの人気は今ひとつで、観客の動員力ではリードに遠く及ばない状態だったという。例えば、B-Sessionのノースフェースカップで行われているサドンデスのような考え方を導入するというのも、一つの方法だろう。各地のローカルな大会でも、単に参加者が楽しんでそれでよしとするのではなく、普遍性のある、よりよい競技の形を考えていくべきではないだろうか。その中ですぐれた競技形態が生まれたなら、それを日本から世界へ提案することも考えられるのだ。

(山本 和幸:日山協クライミング常任委員)


男子入賞者

男子入賞者


男子入賞者

女子入賞者


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