JFA競技委員長 北山 真
国内コンペの活性化、国際大会に通用する選手の育成ということを目標に1992年より開催されていたクライミングコンペのツアー戦“ジャパンツアー”ですが、年末に行なわれる予定の04年度最終戦を持って終了とさせていただきます。以下にその理由と今後の展開予定を述べさせていただきます。
いつのまにか、ジャパンツアーは国内におけるエリート大会という位置づけになってしまい(もちろん私たち自身もそれを目指してきたのですが)、会場、ウォール、スタッフ、賞品、賞金、これらのクオリティを上げることはあっても、下げることは許されないという状況になってきていました。プロ、ないしそれを目指すクライマーが増えたことも、プレッシャーとなってきていました。
ツアー戦と呼ぶからには、WCシリーズがそうであるように、すくなくとも5戦以上(ICCレギュレーション上は3戦以上ですが)のコンペは開催すべきと考えます。しかし「1」の理由から、クライミングジムの一角で行うようなものはジャパンツアーとしてカウントできない状況になってきました。初期には年間10戦あまりも開催されましたが、これにはもちろん「1」を無視したものも含まれていました。
以前から、年に一度でいいから大規模な大会を開催すれば、という声は聞こえていました。中には、5戦を1戦にすれば、5倍の規模のコンペが出来るじゃないかという発言もありました(これはいわゆるシロウト考えですが)。とりあえず来年に関しては横浜ロックマスターをより充実したものとし、日本選手権とする予定です。
国体がディフィカルティを導入したこともあって、日本山岳協会のクライミングに対する理解は(本質を理解しているかは別として)10年前に比べれば雲泥の差です。海外コンペ出場への援助(交通費など)も、年毎に増加しています。つまり、本気でまともなコンペに出場したい強い選手はワールドカップに出てください……と、ある程度言える状況にもなってきています。日山協主催のジャパンカップも年々充実の傾向にあり、かつてジャパンツアーの1戦をジャパンカップに“あてがってやった”ことなど過去の話です。
今年は異例の6月開催(北海道)となったジャパンカップですが、原則的には国体の翌年に同会場での開催となり、秋に実施されることが多いと思われます。そしてJFAが春に日本選手権をおこなえば、国内戦のバランスがとれると考えます。また、ボルダリングの全国大会も検討中です。
イベントがらみなどで降って湧いてきたコンペ話を断るなどという、もったいないことはしません。今後も二大会以外のコンペの開催に関しては前向きに取り組んでいきますし、規模によっては国内ランキングにカウントします。
ICCのCUWR(Continuously Updated WORLD RANKING)のような制度にしたいと思います。ただし、過去一年間ではあまりに数が少ないので、公認大会の過去5戦中3戦の成績というようなものが妥当ではないかと考えています。また非常に複雑になりそうですが、海外コンペの成績を含めた(さらに自然の岩場での成績も加味した !?)ランキングというのも検討中です。
“いつでも出たい時にコンペに出られる”が、ジャパンツアー当初のキャッチコピーでした。このジャパンツアー・スピリットはいま国内各地に根付いています。ツアー戦も北海道、東海、中国で行なわれ、毎年しっかりとした大会が開催されている、東北、福井、九州などがあります。もちろんクライミングジム単位のコンペも盛んです。勝手ながらこれらを予選と考え、日本選手権とジャパンカップを“晴れの舞台”とすることが、今後の使命であると考えます。